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幸せの条件



A5 P32 400円 20100404発行
長門有希×コンピ研部長氏 全年齢
表紙:荏永おうみ様
季節はずれのバレンタインネタです
偽りの、空の有紀様がリクエストしてくださった
「男前の長門と、少し乙女な部長で、
 部長が引っ張って行ってるけどやはり最後は…」
という素敵リクエストが元となっています 



「その日は先約がある」

 十四日、会えるよね?
 ほとんど確認のために口にした言葉に対してあっさりそう告げられて、僕は用意していた言葉を続けることができなかった。
「あ、そ、そうなんだ……」
「十五日なら空いているけれど、」
 どうする?
 そう尋ねるように、彼女……長門有希さんは、微かに首を横に傾げた。
「あ、いや! いいんだ、別に……その、大した用事じゃないから」
「そう」
 慌てて取り繕った僕の様子は不自然極まりなかったと思うけれど、彼女は頓着した風もなく手にしていた本へと視線を向けた。
 そうか、先約があるのか……それなら仕方ないよね。
 そう思い込もうとしたけれど、なかなかうまくいかない。彼女いない歴イコール年齢だった僕にとって、今年の二月十四日とはつまり生まれてはじめて迎える恋人がいるバレンタインだったわけで……いや、長門さんになんていうかそういう世間一般の恋人らしいことをして欲しいと考えているわけじゃないんだけ……ど……いや、ええと、いや少しは思ってます。ごめん。ちょっと見栄張った。
 まあ、こうなるような気はしてたんだけどさ。
 頭の片隅で、鮮やかな黄色のリボンが揺れる。
「涼宮さんとの約束があるのかい?」
 彼女は僕の問い掛けに黙って頷いた。
 ああやっぱり……。
 思わず溜息が漏れてしまったのは致し方ないことだと許して欲しい。
 もし違うと言われてしまったらどうしたらいいかわからなかっただろうから、相手があの子で良かったとも言えるんだけどね。少なくとも長門さんを誰か他の男に取られるだとか、そういったことは考えないで済む。
 だからその点はいいとして……うーん。
「あのさ、それ……何時頃までの予定かな」
 ついついそうやって尋ねてしまったのは、未練のようなものだった。
「夜でも構わない。渡したいものがあるだけだから、」
 どうして僕はこんなに必死になっているんだろう。
「少しでいいんだ。キミの時間を僕に貰えないか?」
 そんなにイベント事が好きな性質だったっけ? そういうわけじゃないんだけどな。まるで子供みたいなワガママだと自分でも思う。
 だけど、そんな僕のワガママに彼女は首肯した。
「了解した」
 静かな声が室内に響いて、思わず小さくガッツポーズを作った僕を、長門さんがどこか不思議そうな茫洋とした視線で見ていた。
「十四日の夜に、約束」
「うん、僕は部屋で待ってるから!」
 勢い込んでそう告げると、彼女は眩しいものでも見るように眸をしばたたかせて、微かに口元の形を変える。

 ──その微かな変化が笑顔であると、僕は知っていた。


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