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誕生日 1

竜原さんリクエスト
お誕生日おめでとうございます

会部、幼馴染





 最近妙に、あいつの機嫌が良い。

 それ自体は別に問題ない。むしろ歓迎すべきだと思ってはいるが、なんとなく気にかかった。とはいえ機嫌が悪いならその対処を考えるべきだが、別に現状ではその理由を尋ねる必要性は感じられない。元々感情の浮き沈みが激しい奴だし、何かあったならべらべらしゃべるだろう。
 きっとたまたまだ。
 そう結論付けて、俺は特に注意を払っていなかった。
 だが、どうやらそうはいかないらしいと悟ったのは、奴の異変に気付いてから三日ほど経った辺りだ。

 生徒会へ向かう途中で呼び止められた。
「あ、これから生徒会かい? 大変だね」
「いや、別に」
 もう慣れたし、これはこれで旨味がある。少しばかりの時間を犠牲にすることで、それ以上の利益を得られるのだから、何ら問題はない。
 奴は職員室にでも向かうのか、俺の隣をのんびり歩きながら口を開いた。
「明日、僕の誕生日なんだよね」
「そうだな」
 わざわざ言われるまでもなく覚えている。今更何だと思ったのもまた事実だ。
「欲しいものがあるんだけど、」
 じっと俺の顔を覗き込むようにして見つめてくる妙に真剣な表情は見慣れないもので、うっかり目を奪われそうになり、あわてて何気なく視線を外した。
「言ってみろ」
「言わない」
「……は?」
 何かねだりたいんじゃないのか?
「今年は貰えると思っておくから」
 思わせぶりに口にすると、奴は踵を返した。呆気に取られた俺を見て、晴れやかに笑ってみせる。
「じゃあ、また明日!」
「おい?」
 ひらひらと楽しげに手を振って、奴はその場を立ち去った。残された俺はといえば、呆然とそれを見送るばかりだ。
 欲しいもの、だと……?
 ──いや、とりあえずそれを考えるのは後だ。今はこれから行われる生徒会公務に集中しなければならない。余所事に気を取られて、仕事に差し支えるような中途半端な真似はしたくない。
 それにしても、……ともすれば考えがそちらに向きそうになるのをどうにか押し留めて、俺は生徒会室へ向かうドアを開いた。

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