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エイプリルフール’09

会部


「エイプリルフールだから、嘘をついてみようと思う」

 珍しく向こうから寄ってきたかと思ったら、わけのわからない宣言をされた。
「なんだ、そりゃ?」
 後ろから抱きつかれているせいで表情を窺い知ることはできない。背中越しに伝わる熱の、思いがけない熱さに戸惑う。
「いや、うん、今日はエイプリルフールだしと思って、」
「だからなんだ?」
 意味不明の言葉を呟きながら、そいつは俺の首に回した手にきゅっと力を込めた。
「……おい?」
 そうやってしがみつかれるのは悪い気がしないが、いかんせんわけがわからなさすぎて少し気味が悪い。どうしたものかと思案していると、少し間を置いてそいつが口を開いた。
「き、キミなんか、大嫌いだっ」
 熱っぽい吐息混じりのセリフが耳に吹き込まれる。
「こうやって一緒に過ごすなんてしたくないし、キスされるのなんて冗談じゃない」
 ぎゅう、と強い力でしがみつかれた。
「……それ以上なんて、もっとごめんだ」
 甘えねだるような柔らかい声は微かに震えている。きっとこいつの顔は真っ赤になっているはずだ。見なくてもわかる。
「そうか」
「そうだよ。僕はキミが嫌いで嫌いでたまらないんだ」
 どうしようもなく意地っぱりで素直になれない恋人が、珍しく見せた天邪鬼な素直さに口元が緩んだ。だらしなく脂下がった顔なんざ見せられるもんじゃない。お互いの顔が見えない位置でちょうど良かったと一人ごちる。
 止まれなくなりそうなほど俺を煽ってきやがったそいつを、どうしてやろうかと算段をつけはじめたところに、おずおずと声がかけられた。
「……キミは?」
 ほとんど吐息のような囁きに、柄にもなく顔が熱くなる。下手したら赤くなってるかもしれない。最悪だ。
 こんな……子供のままごとじみた付き合いに、本気になってる自分に気が付きたくない。
「僕のこと、ちゃんと嫌いかい?」
 だが、重ねて問われてしまえば、無視することも出来なかった。
「……ああ、嫌いだ」
 首に回された手を引っ掴んで、手首の内側の柔らかい肉に歯を立てる。
「いてっ」
 びくっと引っ込めかけた手を強く握り締めて、ついた歯型をぞろりと舐め上げれば、ひくりと腕が震えた。
「お前なんか、いつでも手放せる程度の存在でしかない」

 だから、覚悟しておくんだな。 

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