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絵茶ログ

参加者様の素敵ログはわたし一人で楽しむことにします(ひどい
でも我慢できなくなったらきっと自慢するかもしれない

追記に会部ログと、それに合わせためんどくさいふたりのおはなし めずらしく会長お気に入りだったり、そして部長は気に入らなかったりw
でも会長優先なのでのっけてしまえ、えいや、みたいな…

0047.jpg


「もういいよ!」
 叩き付けるようにそう口にして、くるりと踵を返す。思わず伸ばした手で細い肩を掴めば、低い声で「離してくれ」と威嚇された。そんな風にしても、小刻みに身体が震えているせいで強がっているのが丸わかりだ、バカめ。

 事の発端は、取るに足らない些細なことだった。

「なんでキミは髪下ろさないんだい?」
「ん?」
「毎朝セット大変だろ。キミの髪柔らかいし」
 俺なんかよりよほど柔らかい髪をさらりと靡かせて、不思議そうにこちらをじっと見つめる視線に、なんだか居心地の悪さを感じる。
 こいつ相手にあの奇怪な契約について話すわけにはいかない。絡んでない奴にばらさないこともまた契約の一部だからだ。適当に誤魔化すのも面倒だったので、俺はさっさと会話を終わらせる言葉を選んだ。
「色々あるんだよ」
「ふうん」
 相槌を打ちつつも、その声はそこはかとなく硬い響きを含んでいて、俺はそれを訝しく思った。
「なんだ、何か言いたいことがあるなら言え」
「別に、何もないよ」
 眇めた目が、じとりと俺を見据える。どう見ても何か言いたげな表情にイライラした。
「可愛くねえな」
「男が可愛くたってしょうがないだろ」
 ああ言えばこう言う。本当に可愛くないことこの上ない。
 さすがにムッとすると、それを察したのか少しだけ奴は怯んだようだ。だがすぐに、こちらを果敢に睨み付けてくる。
「どうせ僕はキミからしてみたら、何も話せないような気心の置けない人間なんだろ。──それくらい、ちゃんとわかってるさ。分はわきまえてるつもりだよ。だから」
 一瞬泣きそうな顔が垣間見えた気がしてどきりとした。気のせいだろうとは思うが、心臓に悪い。
そして。

「もういいよ!」

 冒頭に戻る、と言うわけだ。





「離せって言ってるのが聞こえないのかい」
 凛とした声は立派なもんだが、惜しいな。身体が嗚咽を堪えるかのように震えているせいでせっかく張った虚勢が台無しだ。これじゃとてもじゃないが俺は騙されてやれない。
「聞こえてる」
「じゃあ……はなせ、よっ」
 要望通り、肩から手を離してやった。
 代わりに後ろから華奢な身体を抱き締める。
「うわああっ!」
 じたばたと腕の中でもがく姿に苦笑した。
「暴れるな」
 後頭部に顔を埋めるようにしてうなじに口付ければ、びくんと肩が震える。
「お前に話せないことが山ほどあるのは確かだ。それについて言い訳するつもりは更々ないが……」
 俺はいったん言葉を切ると、くくっと喉の奥を震わせるやり方で笑ってみせた。
「お前を手放すつもりはもっとない」
 耳元にそう吹き込んでやれば、身体がガチガチに強張る。
「わかったな?」
 問い掛けではなく断定口調での物言いに対して、返ってきたセリフはとても悔しそうな響きを帯びていた。
「──卑怯者めっ」
「願ってもない褒め言葉だな。ありがたい」
「ちくしょう!」
 尚も何か毒づこうとしているそいつの頭をがっちりホールドして、無理矢理横を向かせた。
「なっ」
 言い募ろうとした唇を塞げば、驚いたように目が見開かれる。
 どうせ俺の舌を噛み切ってでも逃れようとまではしない癖に、中途半端に逃げようなんて甘すぎるんだよ。ふざけんな。
 そんな思いを抱えつつ。

 俺はこいつを貪るために、ゆっくりと目を閉じた。

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