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あたらしいせいかつ 21

会部  どうしよう。顔が熱い。触れられている箇所も、なぜかものすごく熱く……まるで火傷しそうに、熱く感じた。 
目の前で起きている出来事がどうしても信じられない。
 いつだって余裕綽綽で、僕のことをからかっているばかりの彼が、これ以上ないくらい殊勝な態度で、僕の前にいる。
「度が過ぎた、悪い。ずっと気ぃ張ってなきゃなんなくて、イラついてお前に当たった。言い訳にもならねえけどな」
 微かに目を伏せて訥々と語る姿はまるで別人のようで、僕は動揺を隠せなかった。いつもだったらそんな僕を見てにやりと不敵に笑うはずの彼は、ちらりと視線を向けただけで何も言わない。
 騙されるな、これはきっと罠だ。
 僕の中で冷静な自分自身が警鐘を鳴らしているのに、どくどくと早すぎる鼓動が邪魔をしてそれに耳を傾けられない。彼の言葉は、容易く僕を支配してしまう。
「お前といるの、楽で甘えちまってた。悪かったな」
 もう迷惑かけねえよと言い置いて、僕から手を離し彼は踵を返した。
「あ……」
 背を向ける直前に見せた表情が、ひどく印象に残った。
 ざわりと、胸の奥のほうがざわめく。
 違う。きっと全部嘘だ。また僕がキミを信用した途端に裏切って、信じた僕を笑うつもりなんだ。その手には乗らない。キミのことなんて、僕はなんとも思っちゃいない。
 拳をぎゅっと握り締めて、開きかけた口元を引き締めようとした。それなのに。
「待ってくれ」
 そんな言葉が勝手に僕の口をついて出た。
 立ち止まって半身だけこちらに振り返った彼の目が、驚きに揺れているような気がした。きっとそれも罠なのに。
「キミが、本当に」
 駄目だ。こんなの、絶対。
「本当に、反省してるんなら……」
 罠だって、駄目だって、言ってるじゃないか、何を言おうとしているんだ。
 必死に自分に言い聞かせたのに。

「許す、よ」

 ……一度口から出てしまった言葉を、喉の奥に戻すことはできない。深い溜息をひとつついて、頭を抱えたい気分になりながら、彼をみやる。
悄然と落ち込んでいた先ほどまでの様子はない。だからといって、してやったりと嫌な笑いを浮かべているわけでもなかった。

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