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あたらしいせいかつ 18

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 無遠慮に入り込んできた舌が、歯列を割って上顎をなぞりあげると、勝手にびくんと体が跳ねた。角度を変えて深く探られるたびに、くちゅくちゅと濡れた卑猥な音が響く。それが自分の口から出ているなんて信じたくない。
今日二回目のキスはやはり微かに苦みを感じて、ふっと彼から香った煙草の匂いに、それは煙草が原因なのだとはじめて気がついた。
苦い唾液が舌に絡んで、それを気持ち悪いと思うのに、与えられる感触は心地よくて、僕の意志を無視して体が快楽を拾い上げる。
きつく閉じた目から、途切れることなく涙が溢れた。
「ガキじゃあるまいしこれくらいで泣くなよ」
「……うるさいっ」
 睨み付けたけれど視界はぼやけて、すぐ近くにある彼の顔ですら焦点が合わない。
「約束したじゃないか、嘘つきめ」
 吐き捨てるように詰ってみせても、彼は飄々とした態度を崩すことはなかった。
「お前がからかい甲斐ありすぎんのが悪いんだろ」
「なんだよそれ」
「……悪い」
 謝罪の言葉を口にしながら、また軽く口付けられた。反省なんか絶対していないくせに、なんで簡単に謝ったりできるんだ。
「謝りゃ、こんくらいなら許してくれるんだろ?」
「……どういう思考回路してればそうなるんだ。そんなわけないだろう。いい加減にしないと本気で怒るよ」
「怒れよ」
 酷薄と称せる一歩手前の、意地が悪い響きを多分に含んだ低い声が耳朶を打つ。背筋がぞくぞくと粟立った。
「嫌なら拒め。そうやって中途半端に受け入れたりするから、俺みたいなのに付け込まれるんだよ」
「……なんだよそれ」
 責任の所在を人に押し付けようとするな。とんでもない奴だな。
「抵抗もしないくせに」
「いてっ」
 ぎり、と掴まれた腕に力がこもる。握力をかけられた部分に、じわりと痛みを感じた。
「俺に気に入られたいんだろう?」
 妙に確信めいた言葉に、かあっと血の気が上った。
 きっと彼の言葉と僕の考えには大きな隔たりがあるけれど、確かにそういう部分がないわけじゃない。それを見透かされてるような気分になって、不意をつかれた。
「悪いようにはしねえ。だから」
 
明け渡せ。

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