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ホワイトデー

会部、幼馴染、微妙にお付き合い前提




「ちょっと付き合え」
 土曜だからゆっくり寝てられる。そう思って幸せに浸りつつ二度寝に入ったら、寝入り端を叩き起こされた。
「うう、なんだよぉ」
「買い物行くんだよ、付き合え」
 人に物を頼む時はもう少しちゃんと頼みなよ、と心の中でツッコミをいれつつ、溜息をついた。まあ、深く考えるまでもなく、実際頭を下げてこられたら熱でもあるんじゃないかと心配しそうだからやっぱりいいや。
「買い物って何?」
「ホワイトデーに渡すやつ」
「……用意、するんだ」
 意外すぎる答えに、ばっちり目が醒めた。
 小さな頃から今までずっと、バレンタインのお返しなんて、面倒臭いの一言で済ませてきたのに……つまり、ええと、それって、本命ができたとか、そういうことなんだろうか。
いやまあそれはいいんだけどさ、君の自由だし。だけどそれを僕に言ってくるのは、さすがにルール違反じゃないのか。
 僕がキミを好きだって、知ってるのに。
「嫌だ、僕は行かない」
「なんでだよ」
「なんでも何もないよ、行きたくない。それだけ」
 そう答えて、ベッドの中に潜り込んだ。あったかい。このまま眠ってしまおうとぎゅっと目を瞑った。
 すぅっと意識がなくなりかけた瞬間、また彼の声に邪魔された。
「おい」
 なんだよ、うるさいな。
 胸の辺りがざわざわする。僕に引導渡したいんだったら、そもそもなんでここにいるんだ。おかしいだろ。
「起きろよ」
「嫌だってば」
 不機嫌さをあらわにした声に臆することなく、僕は温かい布団の中にくるまった。悲しい時や辛い時に、寒かったりお腹が空いてると余計苦しいと経験則で知っている。ここから出るつもりは微塵もない。布団を頭からかぶってしまえば顔を見られることもないし、とても便利だ。
「メシ奢るから手伝えよ」
 だからなんでいちいち命令口調なんだよ、断ってるんだから諦めてくれよ。だいたい、
「……何を手伝えって言うんだ」
 一緒にいったとしても、手伝うようなことなんて何もないじゃないか。
 プレゼントなんて、他人が選んでいいものじゃないだろ。それくらい自分できちんと考えるべきだ。
「お前だってチョコ食ったろうが」
うう、それを言われると弱い。だって美味しそうだったし、どうせ君食べないし。
「運ぶの手伝えよ」
 ……運ぶの? 選ぶんじゃなくて?
 なんだか意思の疎通ができていない気がしてきて、僕は体を起こした。
やっと起きたかとでも言いたげな顔を見せる彼に、疑問に思ったことを問い掛ける。
「あの、誰に渡すのか聞いてもいいかい?」
「誰って、くれた奴ら」
「みんなに?」
「ああ」
 なんだろう、いきなり博愛精紳に目覚めたとでも言うのだろうか。いや、君に限ってそれは有り得ない。だってどう考えても面倒だ。
「なんでまたそんな……」
「点数稼ぎしろって言われてんだよ」
「は?」
 点数稼ぎ?
「お優しい生徒会長様は、女から物貰って放置なんかしないんだと。ったく、めんどくせえ」
「あー……なるほど」
 なおもぶつぶつ文句を言い続ける彼を見ながら、すっかり勘違いしていた自分に気が付いて、どっと疲れが襲ってきた。
 ああもう恥ずかしいなあ、ちくしょう。
「どうした、頭抱えて?」
「どうもしないっ」
「……そんなに出かけんの嫌なのか?」
「そういう、わけじゃ、ないよ」
 いたたまれない沈黙が訪れる。
 だって、言えるわけないじゃないか。嫉妬したとか、ありえないよ。
 赤くなってるだろう顔を上げられなくて、膝に顔を埋めていると、彼が身を屈めたような気配がした。
「耳、赤いぜ」
「ひっ!」
 かり、と耳を食まれて、反射的に手で耳を抑えて顔を上げた。
「顔真っ赤だなあ、おい」
 楽しそうににやりと笑う彼が、とても憎たらしい。
「誰のせいだと思ってるんだっ」
「俺のせいなのか?」
飄々とそう返されて、言葉に詰まる。そんな僕に、彼はすごく楽しそうにキスをしてきたのだった。

 ああ、買い物? 行ってきたよ、ご飯も食べた。
 家出れたの、二時間後だったけど。

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