B5 P24 400円
生徒会長×喜緑江美里 全年齢
まるむさんと合同
まるむさんのおはなしがとても可愛すぎたので
それにそって会長と喜緑さんのデート話を一本書きました
元々の設定がすごく可愛いので可愛いお話が書けたはず!
短いですが、とにかく自分の萌えを詰め込みまくりました
喜緑さんの可愛さとか、TFEI特有の危うさとか、
そういったものが表現できているといいなあ……
イベント及び自家通販だと、先着順でクリアファイルがつきます
書店:とらのあな
サンプル
生徒会長と喜緑さん 遊園地デート編
そんな会話を交わして、一週間ほど経ったある日のことだ。
生徒会の執務を終えた俺と喜緑江美里は、二人で連れ立って帰宅していた。元々こうして二人で帰ることは多かったが、『付き合い』をはじめてからその頻度は高くなり、生徒会の執務がない時にも互いに時間を合わせて一緒に帰るようになっている。
まるで子供のままごとのような、清らかな男女交際、だ。
まさか自分がそんなことをする羽目になるとは思っていなかったし、そんなものに付き合ってやる自分自身に驚いている。だが、思ったよりも悪くない。むしろ俺は、こののんびりとした関係を楽しんでさえいた。
「そういえば、お話があったんです」
微かにこちらに顔を向けて、喜緑が声をかけてくる。
日が暮れかけて、薄闇に染まる直前のオレンジの光が、曖昧な笑顔を浮かべた顔を柔らかく照らしていた。
「何かね、喜緑くん」
「デートをしましょう」
「……は?」
お茶を淹れましょう、くらいの気軽さで喜緑が口にした言葉に、一瞬呆気にとられた。喜緑は普段通りにこにこしている。そこには恥じらいや躊躇いや不安などという初々しさは一切なく、自分の提案が受け入れられないことをまったく考えていなさそうな能天気な笑顔が浮かんでいるだけだった。苦笑するしかない。
「デート……か。その必然性を感じない」
それでもなんとなく憎まれ口を叩いたのは、習性みたいなものだ。それが『生徒会長』を演じるようになってからのものか、もともとの性格からくるものか、そこまでは自分でも判断しかねる。
「必然性はあります」
ふっと喜緑が目を眇めて俺をじっと見つめた。滅多に目を合わせてこないが、意外に強い視線に小さく心臓が跳ねる。喜緑は蠱惑的といっても差し支えなさそうな、雰囲気のある微笑を称えて、言葉を続けた。
「生徒会長から『付き合う』という行動についてご快諾をいただいてから、わたしは情報収集に励みました。付き合っている男女は、デートをするものだそうですよ。そのようにお願いいたします」
書類を一枚作成するような調子の淀みない言葉に苦笑する。
なるほど、そういう話か。
照れや焦りを感じないのも当然のことだ。こいつにとってそれは、必要だからそうするものであって感情が介在する余地はない。
ふざけるな、と言ってやれれば簡単なのに。
「それで、いつどこへ行くんだね?」
俺の口から溜息のようにこぼれたセリフは、そんな言葉だった。
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