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めりくり

会部でめりくり ちゃんとしてないお付き合い前提 「あーやっちゃったなあ……」
 目の前の体温計を見ながら、深い溜息をつく。示された数字に頭がくらくらした。三十八度超えてるとは思わなかったなあ。やっぱり寝てればよかった。
 二十三日は祝日で休み。二十四日の今日は終業式。昨日からなんか調子が悪くて、もう推薦通ったから休んじゃったってよかったんだけど、朝はちょっとだるいかなくらいで熱測ったら微熱だったし、休むほどのことはないかなと思って学校に向かってしまった。どう考えてもそれが敗因。
 結果は、寒い中無理をしたせいでこんなことになっちゃったってわけ。あーあ。
「世間はクリスマスだっていうのに、ついてないよなあ」
 まあ、特に予定があるわけじゃないんだけどさ。なんとなく、気分的に、みんなが盛り上がってる時に遊べないのってつまらないだろ? 受験終わったし、両親からクリスマス帰れないからって多めの仕送りもらったし、気晴らしにちょっと出かけてパーツ見てCD見て本屋いくつもりだったのに、全部パーだ。
 ……病気になった時だけは、気楽な一人暮らしがちょっとだけ嫌いになるよ。体がどうしようもなくだるいっていうのに面倒を見てくれる相手がいないわけだからね。薬飲むにしても何か食べてからじゃないと胃が痛くなるし。ちょっと体を動かすだけでも億劫なのに、コンビニ行くなり作るなりしなきゃなんないのが困るよなあ。
 ちらっと、枕元においてある携帯電話に目を向ける。
 ……呼んだら来てくれないかな。とか、ありえないことばかりを考えそうになるのはどうしてなんだろう。体だけじゃなくて気も弱ってるってことなのかな。
 あーあ。情けないなあ本当に。
 クリスマスイブなんかに呼んだって、無駄に決まってるじゃないか。僕と会う約束をしてたんならともかく。……あ、ダメだ。なんか落ち込んできた。
 全部、熱のせいだ。具合が悪い時ってろくなこと考えつかないから嫌だなあ。
 食べたり飲んだりも面倒になってきて、もう寝てしまおうと布団の中にくるまった。でも、なんでかわからないけど寝付けない。じりじりとした気分で、何度も寝返りを繰り返した。
 頭がぼうっとしてきた。このまま寝られればいいのに、やっぱりなぜか眠れなくて、何度ついたか最早わからなくなってしまった溜息をつく。

 せめて、声だけでも聞きたい。

 思いがけず浮かんだ本音に驚いて、思わず飛び起きる。頭に急速に血が上って、熱のせいではなく顔がどんどん熱くなっていくのがわかった。
 無理に決まってるじゃないか。今日はイブなんだぞ!
 頭をぶんぶん振って思考を振り払おうと努力したら、視界がぐらりと揺れた。ぽすん、と間抜けた音を立てて、ベッドに倒れこむ。
 ……ああ、体調悪いのに動きすぎちゃったか。何も食べてないしそれもあるかも。でもおなかすかないんだよね。
 うーん、飲み物だけは飲まないとやばいかなあ。
 床に直に置いておいたペットボトルを手にとって、少しぬるくなったアクエリアスに口をつける。どうやら自分で思ってたよりもずっと喉が渇いていたみたいで、半分くらい入っていたのを全て飲みきってしまった。熱くてだるい体に、水分が染み渡るような感覚が充ちる。
 ほんの少しすっきりして、溜息をついた。

 僕、何やってるんだろ。

 枕元の携帯に手をのばし、なんとはなしに開いたり閉じたりを繰り返す。しばらくそうやってから、電話帳を呼び出した。
 目当ての人は、すぐに見つかった。電話番号に表示を合わせて少しの間眺めて……その下の欄の、メールアドレスを開く。
機械的な電子音が鳴る度に、画面に文字が表示されていった。

タイトル no title
本文 今、電話平気かな

 入力した画面をじっと見る。
 ……これくらいなら平気かな。うん。都合が悪かったら返事来ないだろうし、大丈夫だよね。
 都合の良いように自分を納得させようとするけど、どうしても躊躇ってしまって、僕は送信ボタンがなかなか押せずにいた。そんな時。
 玄関の方で、何やらガチャガチャしている音がした。
 予想してなかった物音に、驚いてびくっと体が跳ねる。その瞬間、思わず送信ボタンを押してしまっていたらしい。

 扉の外から、聞きなれた着信音が聞こえてきた。

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