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ましゅまろみるく

183.jpg

A5 P36 400円 20100502発行
古泉一樹×朝比奈みくる R18
Red biscuitsのななみかずこさまと合同
糖度高めでいちゃいちゃを目指しました
わたしは∞8絡みのお話を一本書いてます





 いつの間にか視線が追ってしまうようになったことに、気付いたのはごく最近のことだ。彼女はとても危なっかしくて、庇護欲をそそるから……他意はないのだと自分に言い聞かせてみても、うまくいかない日々が続いていた。
 たまさか視線が合うようになったのは、よく覚えてはいないが、僕が彼女を見つめてしまうという事実に気付くより以前からだったように思う。
 互いにそこに在ることを意識しながら、殊更に僕たちは距離を隔てていた。薄皮を何枚も重ねて不透明になった壁のようなものが、僕と彼女の間に厳然と存在していたような気がする。
 それをあっさりと踏み越え、突き崩したのは……意外にも彼女のほうだった。

 真夜中に電話で起こされた。

 こんな時間にいったい何だと言うのだろう?
 一瞬、閉鎖空間が出現したのかと思ったが、そういった力の奔流は見られない。涼宮さんの精神は非常に安定しており、最近では呼び出される頻度はぐっと減少していた。
 鳴り止まないコール音に辟易しながら液晶を覗き、そこに表示された名前を訝しく思う。
 だが、彼女から連絡が来るということは、涼宮さんに関わる話だというのは間違いないだろう。逡巡は一瞬で、僕はすぐ電話に出た。
『古泉くん……助けて、助けてくださ……っ』
 切羽詰まった、悲痛な声。
 一気に胸が苦しくなるような切なさで、僕に助けを求め縋る声に混乱した。
「あの、朝比奈さん? どうされましたか」
『あた……あたし……っ、『禁則事項』で、でも連絡が取れなくて……こんなの初めてなんです! 『禁則事項』に『禁則事項』してみたんだけど……ああもうっ、ごめんなさい。わたし、もうどうしたらいいのか……』
 朝比奈さんが何を言っているのかさっぱり分からなかったけれど、彼女が僕に対して助けを求めていることは理解できた。そしてこの時必要だったのは、その情報だけで充分だったのだろう。
「落ち着いてください。僕にわかるように説明をしてもらえますか?」
『……ふぇ、ごめんなさ、い……』
「謝らなくていいですから」
 心を落ち着けてほしいと願ったのは、状況を把握したいだけなのだと、自分に対して言い訳してしまう。
 嗚咽を交え、つっかえながらも、彼女は僕の言葉に従い促されるまま言葉を紡いだ。
『未来と……未来と、連絡が、『禁則事項』でとれな……帰れな、くて、』
 断片的に拾い上げた言葉から推測される事態の重さに愕然とする。
『あたし、このままっ、帰れないんですかっ? そんなのいやぁ……っ、でも、『禁則事項』だし……『禁則事項』で、』
 彼女は泣きじゃくりながら、意味を為さない言葉を並べていく。
 ……このところ感じていた、不自然な既視感、何度も繰り返した気がする日常、それらが異常事態かもしれないとはじめて気が付いた。
『助けて……あたし、もう、』
 悲壮なまでの言葉に何も返すことができずにいると、彼女は不意に口を噤んだ。そして、悄然とした様子で口を開く。
『ごめんなさい。こんな……こんな事言われたって、困っちゃいますよね。夜遅くにごめんなさい、古泉くん。電話、切りますね』
 悲しそうな、それでいて全てを諦めたような口調に促される形で、言葉が口をついた。

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