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次回配本先行配信 1 

会部
前に放置したクリスマス拉致ネタ

次回配本先行配信となりますので
予告なく削除する場合があります
えろいとこは削りました、よしなに



「今日はキミに構ってる暇ないんだけど」

 付き合って間もない恋人から、クリスマスイブにそんなことをいわれる人間というのはそう多くないと思う。まさかその一人に自分がなるだなんて、当然のことながら予想すらしていなかった。
 幼馴染であり、隣の住人でもあるそいつは、苛立たしげに眉を顰めた。
「だいたい突然来てプレゼント寄越せなんて言われても、用意できてるわけないだろう。そういうのはちゃんと事前にアポイントを取ってくれ。そうしたら僕だってちょっとは考えたのにさ」
 まるでこちらに非があるかのようにぶつぶつと何やら言っている。何度でもいうが、今日はクリスマスイブだ。そして俺たちは付き合いはじめてまだ三ヶ月程度だったりもする。最近は目にするたびに忙しそうにしていたから、ほとんど話もまともにしていない。せめてクリスマスくらいはと思っていたのにどういうことだ、これは。
「とにかく今日は無理だよ。作ってるゲームの大詰めなんだ。みんなにも来てもらってるし今日は徹夜のつもりだから、悪いけど帰ってくれるかな」
 どこか刺々しい言葉が、忙しさのあまり出たものだということは何となく想像がついた。だが、それで許してやれるかというと別問題だ。
「ほう……」
 見れば、角にある俺の部屋よりも少しだけ狭いワンルームにはごちゃっと人がひしめき合っている。
 家主を含めて総勢五名ってところか。
 他のやつらは、こちらの様子をおそるおそる伺っていた。
 ……俺よりも、あんな奴らを優先するっていうわけか。
 こいつの性格を考えれば、先に約束したほうを優先させることは容易に推測できる。まして、いつも懇意にしているコンピ研の奴らなら尚更だろう。だが、何もこんな日まで、という思いがどうしても消えない。
 記念日なんてどうでもいい。
 そう考えていたはずなのに、これはいったいどういうことなんだろうな? 自分自身の変化に対しての訝しさが、奴に対しての憤りへと変わるのに、そう時間はかからなかった。
「お前は俺とクリスマスを過ごす気はないってことだな。よくわかった。お前との付き合い方は考えることにしよう」
「……なんだよ、その言い方」
「そういうことだろう?」
 睨み付けてきた視線を正面から受け止めてみせる。きりりと柳眉が釣り上がった。
「だいたいキミがっ」
 何かを言いかけたが、すぐに口を閉ざす。ふいっと視線をそらして、吐き捨てるように呟いた。
「……どうしても何か欲しいって言うんなら、そのへんにあるものにリボンでもかけてあげようか?」
 揶揄を含んだ挑発的な台詞に、抑えていた衝動が止められなくなる。
「……そうだな、そうしてもらおうか」
「へ?」
 間抜けた声を上げたそいつの腕を引っ掴んで、廊下に引きずり出す。
「何をするんだっ!」
 素足のまま外に出る羽目になったそいつは当然騒ぎ立てたけれど、頓着せずそのまま隣室である自分の部屋へと連れ込んだ。部屋の中へ突き飛ばすような形でそいつを促して、チェーンと鍵を即座にかける。チェーンは自分で取り付けたもので、掛けるときはともかく外すときには少し手間がかかるタイプだ。これでそう簡単には逃げられない。
「……な、何を……」
 あからさまに怯えた表情を見せるそいつに向かって唇の片端を上げるやり方でにやりと笑って見せる。その笑顔はどうやら殊更に奴の不安を助長したようで、すっと血の気が引いていった。その様子に胸がすいたが、これだけで終わらせるつもりはない。
 俺は玄関先に置いてあった、包みを一つ取り上げて、その包装を紐解いた。
「それはなんだい?」
「知らない奴からもらった」
 この時期と、二月の中旬あたりになると少しそういうものを渡してくる女が増える。何も返せないといっても押し付けてくるのを、更に断ると泣かれたりして面倒なのでプレゼントの類は受け取ることにしている。だからといってそれ以上のことをしてやる気分にはなれないが。
「……それを見せたかったのかい? だったらもういいだろ。僕は帰らせてもらう」
 妙に気色ばんだ顔できゅっと唇を噛み締める姿は、まるで傷付いているように見えた。
「わざわざ僕の前で、他の人から貰ったプレゼント開けることないじゃないか。キミは本当に悪趣味な奴だなっ!」
「別に、開けたりはしないさ」
「え?」
 俺の言葉に、奴は訝しげな表情を作る。
 中身を開封しようと思ったわけじゃない。用があるのは、包装部分だ。
 しゅるっと抜き取ったリボンは起毛素材で柔らかく、高級感のある深紅だ。
 それを持って部屋に上がると、床にへたり込んだままだったそいつがぎくりとしたように身体を強張らせて後ずさる。
「な、なんだい……?」
 こちらを見上げてくる視線に、先程までの強さはない。怯えと不安が入り混じったような目が、真っ直ぐ俺に向けられていた。その視線を向けられると常に、庇護欲と嗜虐欲が自分の中でせめぎあう。
「そのへんにあるものに、リボンでもかけてもらえるんだろ?」
「えっ、ちょ……うわっ!」
 腕を掴んで引き寄せる。細い手首は難なく片手で押さえ込む事が出来た。何かを察したか必死で抗おうとする姿は、余計男を煽るとわかっていないんだろうか。
「何をするつもりだっ!」
 悲鳴のような声を上げるそいつを意に介せず、俺は纏めた両手首をさっさと縛り上げた。少し緩めだが簡単には解けないやり方で戒める。男にしては白く滑らかな肌に、深く沈みこむような赤はよく映えた。
「プレゼントを貰おうかと思ってな」
「なっ」
 ようやく俺の意図を理解したか、奴の頬がかあっと赤く染まる。瞬時に赤みを増して火照った目元は、どことなく艶めいて見えた。
「ふざけないでくれ! 僕は忙しいんだ!!」
「ふざけてるつもりはない」
「え……うぁっ」
 肩をぐっと掴んで引き上げる。ベッドの上に放り投げると、呆気ないほど簡単に奴は体勢を崩した。暴れる身体を抑えつければ、血の気が引いたそいつと視線が合う。
 ──そんな顔が見たいわけじゃない。
 そう考えたのは本当なのに、一方的な行為を止められない自分自身に苦笑するしかなかった。

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