A5 P44 500円 20091230発行
生徒会長×コンピ研部長 R18
表紙:
ゼロコさま年の差パラレル 余裕のない年上会長×ちょっと生意気な年下部長
ゼロコさんのショタ部長に触発されて発行したコピー本のまとめ
加筆修正してあります&会長視点での別エピソードを追加しました
僕は、家の前でへたり込んでいた。
何のことはない、うっかり鍵を家に置き忘れてしまって、中に入れなくなってしまったのだ。
今日は土曜日で本来ならば学校は休みなんだけど部活の集まりがあって家を出た。制服のままだからどこかに遊びに行くことも難しい。
この辺りの遊べそうな店には、漏れなく学校側から通達が回っていて、学生服のままでは保護者がいないとファミレスにすら入れなかったりする。
地べたに座るなんてだらしないとは自分でも思うけど、本当に疲れているから少し大目に見てもらえると非常にありがたい。
「ああ、ついてないなあ……」
そうぼやいた瞬間、カツカツと硬質な足音が聞こえた。
家族だろうか?
そうだったらいいんだけど、今日は結婚式に出席するから遅くなるって言ってたんだよなあ。高校のときの同級生で、両親共通の友人だから、ふたりして二次会もいってくるとも口にしていた。
それでも一縷の望みをかけて顔を上げれば、目に入ったのは隣室のいけすかない男だった。
……なんだ。
「はぁあ……」
がっくりきて蹲ったまま俯き、盛大な溜息をつく。
僕は彼のことがとても苦手だ。
居丈高で尊大で傲岸不遜で……そのくせ外面はよくて、誰かがいる前ではどこからどう見ても優等生みたいに振舞う。
だけど実際には煙草も吸うしお酒も飲むし夜遊びも当たり前のものすごい不良だ!
それを知っている人間はとても少ないし、誰かに言ったところで絶対に信用してもらえないだろうから言わないけど、あいつは僕にまで飲酒や喫煙を勧めてきたこともある。大分前のことだけどさ。
……最近はあまり話したことないんだよな。
小さな頃はよく面倒を見てもらってたけど、僕が中学にあがってからは交流がなくなった。だいたい向こうが声をかけてきて、一人暮らしの彼の家に転がり込んでは映画を観たりゲームをしたり勉強見てもらったり、そんな感じで構ってもらってたんだけどね。
でも、何で僕なんかに構ってくれるのか不思議になるくらい友達の多い彼だから、誘われなくなったのは当たり前のことだ。
別に気にしてるつもりはないんだけど、日が経つにつれて、疎遠になって隔てた距離の分、彼のことを苦手に思うようになった気がする。
苦手、ともまた違うのかもしれないけど。
コメントの投稿