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天香国色 上

172.jpg
A5 P60 600円 20091230発行
生徒会長×コンピ研部長 R18
表紙:水戸幸村様
時代物風パラレル 芝居小屋で働く部長を見初めた会長が身請けします
色々な年代から設定を持ってきてます、考えながら読むと多分頭痛がします
三巻構成で、途中他CPっぽかったりモブ×部長などの描写があります
さらりとした描写ではありますが、他CPが全く駄目な人はご注意ください

サンプル



「あ……」
 驚いたように振り向いたその顔に、釘付けになった。
 僕の目の前には、眉目秀麗を絵に描いたような青年が佇んでいたのだ。
 第一印象は、怖い。
 そのきつい眼差しには、どんな気の強い人間でも裸足で逃げ出したくなりそうな鋭さが在った。それがただひたすら自分だけに向けられているのだから、怖いに決まっている。
 顔立ちのどこにも甘やかさはなく、見る者に威圧感を与えずにいられない眼光の鋭さだというのに、整った造作はうつくしいとしか言えない。
 傲岸不遜な空気を身に纏っているけれど、どこか清廉な雰囲気を漂わせてもいた。
 類を見ないほど身長が高いのも特徴の一つだ。
 僕はひょろひょろと細いけれど決して背が小さい方ではないのに、その人の前だと小柄な体躯に見えた。
 背が高い人間はどこかしら鈍重に見えるのが世の常だが、背筋をすらりと伸ばした立ち姿からはどちらかというと機敏そうな感じが窺える。
 髪を短くざんばらにしていたけれど、椿油を使ってきっちりと前髪をあげて撫で付けてあるので軽佻には見えなかった。
 その人を形作る全てが、僕の目には魅力的に映る。
 暫くの間、僕は呆けたように動けずにいた。
 その人もまた僕から視線を離す事はなく、見詰め合うようにして数瞬の時が過ぎていく。
 自分の喉がこくりと鳴った音でハッと我に返った。
「し、失礼しました」
 慌てて跪き平伏する。
 顔を上げて彼を見ていたいという欲求は何とか打ち消すことが出来た。
 心臓はまるで早鐘を打つように忙しなく鼓動を早めていく。別段暑い訳でも無いのに頭に血が上ったかのようにぽうっとした気分だ。
「キミは役者か?」
 突然投げかけられた言葉の内容よりも、その声のほうに耳が行く。
 深みのある低音なのに、籠っているわけではなく聞き取りやすい、誰でも聞き惚れてしまいそうな声音だ。だからといって他人に阿るような響きはどこにもなく、冷たささえ孕んでいるようにも聞こえた。
「いえ、」
 答えた声は少し上擦っていて、自分の緊張を知った。それでも答えることが出来ただけ上出来だと思う。
「そうか」
 溜息のようにそっと呟いた声に、背筋がぞくりとした。
 別に嫌な感じではないんだけど……何て言ったらいいんだろう?
 僕にはわからないことばかりだ。
「顔を上げろ」
 傲然とした声が告げた言葉には、他人に命令し慣れている響きが多分に含まれている。
 一瞬の躊躇いの後、おずおずと顔を上げた。視線を合わせてもいいのか判断しかねて目が宙を泳ぐ。どうしていいのか困りきって俯きそうな自分をどうにか叱咤したところで、ぐいっと顎を掴んで顔を持ち上げられた。
 精緻に象られた端整な顔が目の前に現れて息を飲む。吐息がかかりそうなほど近くに誰かを感じた覚えなどついぞない僕にとってその距離は動揺を招いた。

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