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微妙な予告的プロローグ

一部で散々ぎゃーぎゃー言ってた
アニメハルヒちゃん設定ドッジボール絡みの会部

古会じゃないです古会じゃないです古会じゃn(ry



 こんこんこん

 特徴的なノックの音に、俺は盛大に顔を顰めた。返事を待たず開いた扉の向こうに、いつでも穏やかな笑みを絶やすことない取引相手の顔を認めてげんなりする。
「……何か用かね」
 既に他の役員は帰宅している。俺も施錠が終わり次第帰る予定だった。ただでさえ書類仕事に忙殺されているというのに、こいつの相手までしなきゃならんとはな。
「これは失礼、今から帰るところだったようですね」
 それくらいのことは当然わかっていて来たんだろうによく言う。面の皮が厚いとはまさにこのことだ。
「演技は必要ありませんよ。僕ひとりですので、どうぞご心配なく」
 にこやかに告げられる言葉にイラッとした。いちいち人を苛立たせる話し方をする奴だ。
「そうか。で、何の用だ?」
「たいしたことではないんですが、お耳に入れておいたほうがいいかと思いまして」
「さっさと用件に入れ」
 そして出て行け。
 言外にそう込めて睨みつけると、古泉はますますその笑みを深めた。一分の隙もない善良そうな笑顔に反吐が出そうになる。こいつがこういう顔をしているときはろくなことがない。
「急いてはことを仕損じる、と言いますよ」
「あいにく無駄なことはできるだけ省きたい主義でな」
 冷ややかな視線を向けそう告げると、古泉はひょいと肩を竦めた。
「僕との会話は無駄扱いですか。ひどいなあ」
「じゃあ、お前はこの下らないやりとりを有用なものだとでもいうのか?」
「ふむ……確かに僕にとって有用なものかと言われると、そういう位置づけではないかもしれません。ですが、無駄ではなく余裕と言い換えることも出来るのではないでしょうか?」
 どこか楽しげな口調に、苛立ちがいや増しに増した。
「その減らず口をどうにかしろ。用がないのなら俺は帰るぞ」
「おやおや、つれないですね。せっかくあなたにとって有益な情報を持ってきたのですが」
「なんだと?」
 いっそ気味が悪いほど綺麗な笑みを浮かべながら、古泉は続けた。
「あなたがそう仰るのでしたら仕方ありません。今日はこれでお暇するとしましょう。お忙しいところたいへん失礼しました」
 何やら意味深な笑みを浮かべると、深々と最敬礼に近い一礼をして踵を返そうとする。張り巡らされた罠に自ら嵌るのはあまり面白くないが、こいつがわざわざ有益な情報とまで言うのなら聞いておいたほうがいい。出そうになった舌打ちをなんとか押し殺して、低く唸った。
「待て」
「おや、引き止めていただけるとは思ってもみませんでした。僕の顔すら見ていたくないという風情だったと見受けられますが」
「その認識は間違っちゃいないが、話を聞いてやらないでもない。言ってみろ」
「いえいえ、ご無理なさらず」
 こういうときの古泉は、薄気味悪いほど完璧な笑顔を装う。殴りたくなる衝動に駆られるのは俺だけじゃあるまい。
 本当にいけすかない野郎だ。
「……その情報っていうのは、本当に俺にとって必要なものなんだろうな」
「そうですね……少なくとも、僕は有益だろうと判断していますが、あなたが実際にどう思うかはまた別の話です。そもそもあなたが僕との会話を拒否した以上、無理に話そうとは思いませんのでご心配なく」
 身振り手振りを交えて、まるで舞台役者のように大仰に両の手を広げて肩を竦めてみせる。普通の人間がやったらお笑いコントにしか見えないが、顔だけはやたらといい人間がやるとそれなりに決まって見えるものだ。
「おい、古泉」
「なんでしょうか」
「さっさと話せ」
「おや、命令ですか? 僕があなたに従う謂れはないのですが」
「うるさい」
 滔々と謳うような古泉の言葉を遮って、舌打ちする。こちらのペースを崩すことが狙いだとわかっていても結局乗せられてしまう自分自身に舌打ちした。
「どうやら今日は随分と機嫌が悪いようですね」
「お前と話しているからだ」
「おや、これは手厳しい……まあいいでしょう、本題に入ります」
 柔和な顔つきが、どことなく真剣みを孕んだ。
「コンピ研とちょっとしたゲームをしましてね」
 コンピ研、だと?
 聞き覚えのある単語にぴくりと反応する。それに満足そうな笑みを浮かべて、奴は言葉を続けた。
「ゲームの結果、何名か動けない状態となりました。その中にはコンピ研の部長さんも含まれています」
「動けない状態? お前あいつに何をしたんだっ」
「人の話は最後まで聞くように、と小学校で習いませんでしたか?」
 謳うように抑揚をつけたセリフは、非常に楽しそうに紡がれた。
「ご安心ください。どなたも怪我はありません。ただ少しばかり筋肉が疲労しているだけです。まあ、家に送り届ければあとはご家族の方もいらっしゃいますから特に問題はないはずですが、コンピ研の部長さんは一人暮らしをなさっているのでこうしてあなたにお伝えしに参った次第です」
「……なんでわざわざ俺のところへ来た」
 半ば答えのわかっている問いを口にしたのは、焦っているのを悟られたくなかったからだ。語調を荒げておいて今更とは思うが、なるべく弱みを見せたくない。
「おや、あなたと彼は幼馴染でしょう? そしてとても親密な関係でしたね。この情報はあなたにとって有益だと僕は判断しましたが、間違っているでしょうか」
 古泉は、親密な、という部分を微かに強調してみせた。全てを知っていると言いたいらしい。あれが俺の弱みだということも、強みだということも。
「筋肉の疲労と言ったな」
「はい」
「端的にそうなった状況を説明しろ」
 そう告げると、古泉はやたら爽やかにくすくす笑って肩を竦めて見せた。
「風情のない人だ」
「こっちはお前と延々話しているほど暇じゃない」
「もちろんあなたが忙しいことは重々承知しております、生徒会長殿」
 揶揄に近い口調にイラッとしたが、ここで乗ったら思うツボだと経験則で知っている。こちらが話に乗ってこないのを見て、古泉は笑顔ではあるものの若干つまらなさそうに口を開いた。
「ドッジボールをしていました」
「ドッジボール?」
「はい、球技の」
 それはわかる。それ以外のドッジボールを俺は知らない。だが、あれは動けなるほど危険なスポーツだっただろうか。
「どうやらゲームの最中に彼女の力が働いたようで」
「……例の、『神』とかいうやつか」
 眉唾物だと思っちゃいるが、こいつらにとっては真剣な話だと知っている。ついでにいうと信じざるを得ない状況に追い込まれたことが、一度だけ。
「参加していた人間の身体能力のリミッターが外れました」
 リミッターが外れる?
 本来脳で制限されているそれが、無意識に外れるなどということがありえるのだろうか。だがそれが本当なら、動けなくなるのも道理だ。
「それと気付いてセーブした人間は平気ですが、コンピ研の方々は知りませんから」
「なるほどな」
 つまり、極限まで身体を酷使したため動けなくなったということか。
「やはりあなたは話が早くて助かります」
「……話はそれだけだな」
「ええ」
「失せろ」
「仰せのままに」
 古泉がにこやかに笑みを浮かべて、芝居がかった動作で優雅に一礼する様を、とことん苦々しく思った。


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