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冬コミペーパー

古キョン、冬コミに合同スペで配ったのです
冬発行の「SNOW KISS」に絡んだお話ですが
単品でも読めると思います、たぶん


「……よう」
「本当に来てくださったんですね」
 玄関でチャイムを鳴らし、ドアが開いたと思ったら開口一番それとは随分なご挨拶だな。
そんなことを言われて回れ右したくなった俺を責めることのできる奴はどこにもいないだろう。事実俺はそうしようとしたのだが、踵を返した途端古泉の手が俺の肩を掴む。俺は古泉のほうへは振り返らずに低く唸った。
「離せ。帰る」
「待ってください! すみません、謝ります。僕が悪かったです」
「まったくだ」
 機嫌を直したわけじゃないが、あまりに古泉がしょぼくれた顔をするものだから怒る気が削がれてしまった。こんなところで押し問答するのも性に合わないので、仕方なく奴の部屋の中へと足を踏み入れる。小奇麗なマンションの一室、一人暮らしには広すぎるファミリータイプの2LDK、綺麗に設えられた家具はどれも高そうだ。
「いいところに住んでるじゃないか」
「そうですね……衣食住に不足は感じていません」
 そうだろうとも。SOS団の集まりがあるとき着ている服はやたら高そうだし、コンビニ弁当なんて食ったことがありませんって顔してるもんな。
「顔は生まれつきですので、あまり関係がないかと」
「うるさい」
 何故かさっきから無駄口を叩いてしまうのは、もしかしたら柄にもなく緊張しているせいかもしれない。別に緊張するようなことは何もないんだがな。……そう、こんなの端から見りゃ、高校生が友達の家に遊びに来たってだけの話だ。それ以上でも以下でもない、はずなんだが……。
 生憎、俺たちはただの友達ではなかったりする。
「来てくださって嬉しいです」
 居間まで上がりこんだはいいが、その場にあるソファに座っていいものかどうか逡巡していると、後ろからふわりと抱き竦められた。緩やかに俺の目の前で組まれた腕はしっかりと俺の身体に巻きついている。背中越しに古泉の体温が、冷えた身体にしみていった。
「お、おいっ」
 展開が早い。早すぎる。お前には情緒というものがないのか! 
あ、しかもこいつ結構本気で抑え付けてきやがる。逃げられん。
 耳元に吹きかけられる吐息がくすぐったくて、背筋がぞわりと戦慄いた。その反応が楽しいのか何なのか知らんが、古泉はくすくすと笑みを零している。
そのからかうような含み笑いが癇に障った。
「離せ」
 不機嫌を隠さずに告げてはみたが、古泉は全く取り合おうとしない。
「……っ」
 首筋に濡れた感触がして、口付けられたことを知った。唇は押し付けられてすぐ離れたが、間を置かず少しだけ移動した場所にまたキスをされる。
「何してるんだっ、お前は!」
「何してるんでしょうね」
 飄々としながらそう言ってのけた古泉は、俺がとめるのも聞かずにその行為を繰り返し続けている。普段の人畜無害な優等生はどこへ行ったんだ、おい。
「ここは僕の家ですから」
 飾る必要がないんです。

 殊更低い声が耳朶を打ち、その声に煽られた身体がピクリと震えた。

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