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無題

会部 甘め、たぶん幼馴染

ナナメさんからいただいた部長氏にハァハァして書きました
部長はわたしがひとりじめなのです
というわけでナナメさんに捧げます!


「ちょっと来い」
「え?」
 なんだろう……人目のあるところで彼が僕を呼ぶのは珍しい。しかも、なんとなく機嫌が悪そうだ。いつものことといってしまえばそれまでだけど、いつものそれともちょっとだけ違うような気がする。
「どうかしたのかい?」
 尋ねてみたけれど答えてはもらえない。どうやらついていくしかなさそうだ。

 やがて連れて行かれた先は、誰もいない理科準備室だった。こんなところの鍵まで持ってるのか。生徒会長ってすごい……っていうか、これ、職権濫用じゃないか?
 心の中で考えていると、不意に彼が口火を切った。
「先週の金曜」
 ……先週の、金曜日? 何かあったっけ……あ、あああっ、まさか……っ!
「心当たりがあるようだな」
 ぎろりと僕を睨みつけた彼が、ものすごく怒っているように見えて、身体がぎくりと強張った。

「え、ええと、もしかして、とは思うんだけど」
 思い当たること、といえばひとつしかない。
「こ、告白されたこと、かな……?」
 下級生に呼び出されて、手紙をもらった。淡いピンク色の封筒に、女の子らしい丸くて可愛い字で僕の名前が書かれてあった。
 気持ちに応えることは出来ないと告げたけど、彼女は真っ赤になって俯いたまま読んでもらえるだけでいいのだと手紙を差し出した。そのときの彼女はとても健気で可愛く見えて、思わず受け取ってしまったのが、ちょうど先週の金曜日のことだ。
 手紙を読ませてもらったけど、付き合いたいとかそういうことは書いてなくて、すごく好きでいてくれたことともうすぐ卒業だから伝えておきたかったのだと書かれてあるだけだった。純粋にその気持ちを嬉しいと思ったから、せめてありがとうって伝えたいなと思ったけど、なんとなくそのままにしてある。

 わざわざ吹聴するようなことじゃないから誰にも言わずにおいたんだけど……何故か彼は知っているみたいだ。まあ、校内の色々な情報をいつの間にか握っている奴だから、不思議とは思わないけどさ。
「どうして黙ってた?」
「どうしてって言われても……」
 キミだって、告白されたことをいちいち僕に報告しないじゃないか。キミの場合は僕と違って日常茶飯事だということはこの際考えないでおく。
「別にキミに言うべき必要性を感じなかったからだよ」
「……ほう?」
 彼は底意地の悪そうな笑みを浮かべている。
「ずいぶんえらそうな口を叩くんだな、出世したもんだ」
 やっぱり怒ってるみたいだ。なんだよ、怒るなら怒るでちゃんと怒ればいいじゃないか。
 だいたいなんで怒るんだ。どこに怒るようなことがあるって言うんだよ。わけがわからない。

「何で怒ってるんだ。嫉妬でもしてるのかい?」
 なんだか居心地が悪かったから、ふざけるなと怒鳴られる覚悟でそう口にしてみたけれど、期待していた反応は返ってこなかった。
「へ……?」
 珍しい、とても珍しいことに、彼の顔がかあっと赤くなる。つられて僕まで顔が熱くなってきた。
「え、な、何……?」
 いきなりぐっと引き寄せられて、端整な顔立ちが大写しになった時点できゅっと目を瞑れば、唇に柔らかい感触が落とされた。それは触れるだけですぐに離れていったけれど、抱き締める腕の力は強くなるばかりだ。
「悪いか」
 ちくしょう、と毒づいて、ぎゅうぎゅうに抱き竦められる。
 え、まさか図星をついたとかそういうことなんだろうか。
 ──どうやらそういうことらしいとなんとか飲み込んだら顔の熱さは徐々に引いていったけれど、今度は頬が緩んでしまって戻らない。どうしようかな、これ。
「バカだな、キミは」
 キミは僕の事をバカだバカだって言うけど、キミのほうがよっぽどじゃないか。

 僕がキミに伝えなきゃいけないことなんて、僕がキミを好きだってことだけだろ。

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