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あたらしいせいかつ 22

会部 完結




彼の表情をなんて表せばいいのか僕にはわからない。茫然自失……が近いだろうか。
「あ、あの……?」
 リアクションが返って来ないことに不安を感じて声を掛けると、はっとしたように彼は表情を取り繕った。
 僕、そんなに変なこと言ったかな。
 彼の反応は不可解としか言いようがない。
 やっぱりあれはただの罠で、あまりにあっさり引っ掛かりすぎて驚いてるんだろうか。なんだかそう考えると、自分が随分と自意識過剰でいたたまれない。
 居心地が悪くて、さりとてこの場を立ち去ることも出来ず、随分長いことその場に立ち尽くしていたんじゃないかと思う。実際には二分も経っていないだろうけど。
 なんでもない、忘れてくれ。
 そう言おうとしたら、口にする前に彼の言葉で遮られた。
「反省はしないでもないが、俺は多分いくらでも繰り返すぞ。それでもいいのか?」
 揶揄めいた口調もさることながら、その内容も看過できないもので、かあっと顔が熱くなった。
 やっぱりこいつ最悪だ!
 そう思ったのは本当だけど、口から出たのはこんな言葉だった。

「そしたら、何度だって怒ってやるさ!」

 ……だって、友達になりたかったんだ。
 誰かが正しくない行いをするなら、それを止めることができるのはきっと周りにいる人間だけだ。だからキミのことは僕がいくらだって怒ってやる。
「……ほう?」
 彼が、にやにや悪辣な笑みを浮かべながら僕を見据える。それだけで僕は、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。
 すっと伸ばされた手が、頬にかかる。
「何度でもしてみせろっていう誘いか、それは?」
 一瞬彼が発した言葉の意味が把握できず、理解した途端にさっきまでの比じゃないくらい顔が熱くなった。きっと僕は今、真っ赤な顔をしているに違いない。
「い、言っておくけど、どうしようもなければすぐに見捨ててやるんだからな!」
 頬をなぞる彼の手を振り払う。難なく離れていったそれに拍子抜けした。
「フン」
 偉そうに鼻を鳴らした彼を睨みつけると、彼はにやりと笑った。嫌味ったらしいそれとは違う笑顔に、思わず見とれかけてハッとする。
 男なんかに見とれるとか、そんなバカな話あるか!
「善処してやる」
「どこまで偉そうなんだ、キミは!」
 そうやって怒鳴りつけても、彼の余裕ありげな表情はもう崩れることはなくて、僕は歯噛みした。そんな僕を見て彼が意地悪く笑う。
 ちくしょう、かなわない。
 そんな風にも思った。



 ──こうして僕の新しい生活ははじまったのだ。

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