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涼宮さんと古泉くん

閣下かわいいよ閣下(会長に非ず  彼女はいつでも唐突だ。
「そういえば……古泉くん、変な時期に転校してきたわよね」
 だから誘ったんだけど、と彼女は続ける。
「どうしてだったの?」
 北高へ転校してきてから既に一年以上経過している。不意をついた形で訪れた質問に内心動揺しつつ、それをおくびにも出さず僕は『古泉一樹』らしく微笑んでみせた。
「両親が海外へ移住することになりまして、さすがに一軒家に僕一人というわけにもいかず転居したんですよ」
 これはいつもついてる嘘のひとつだ。よどみなく囀るように口の端に乗せれば、彼女はきりっとした杏仁型の瞳で僕をじっと見つめた。思わずたじろいでしまいそうな強い視線は、とても涼宮さんらしくて好ましいと思う。
「……寂しくなかった? 古泉くんなら友達とか、前の学校にも多かったんじゃない?」
「いえ、家族の仕事の都合で転校が多かったのでそうでもありません。……そういえば、この学校が一番長く通っていることになりますね。月日がたつのは早いものです」
 これも嘘だ。実際には僕が転校したのは二回しかない。一度目は超能力に目覚めたとき、二度目は……あなたを見守るために。
「ふーん……そう」
 なんだか釈然としない面持ちで、彼女は団長席で机に肘を突いて手のひらを組み、その上に顎を乗せた。目を伏しがちに、どこかつまらなさそうに言葉を発した。
「ご家族の都合なら仕方ないわよね。……残念だったわね」
「いえ、そうでもありませんよ。こうしてSOS団の一員として活動できているのもそのおかげですからね。世の中には無駄なことなど何もないのだと実感しています」
 ──これは、本当だ。
 一時は突然めまぐるしく変わってしまった自分自身や周囲の環境に、この世の全てが嫌になったこともあった。それこそ自殺を考えたほどだが……今ではそんなことは笑い話だ。僕は、この人を……ひいては世界を守ることができるのだから。
 僕の答えに、彼女は少しだけ顔を上げた。
 じっと僕を見つめる……というか、見据えられる。
 全てを見透かしそうな強い視線に射竦められると、どくんと心臓が跳ねた。
「そうね。副団長がいないと私だって困るもの。ううん、古泉くんだけじゃない。……みんな、勝手にいなくなったら承知しないわ」
「──肝に命じます」
 キラキラと目を輝かせて、頑是無い子供のようなセリフを紡ぐ我らが団長に、僕は心からそう誓い微笑んだのだった。

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