2ntブログ

プロフィール

あくあasえもと

Author:あくあasえもと
2/22生 東京在住
 
リンクは張るも剥がすもご自由に
ご一報いただけると嬉しいです!



倉庫(仮)

☆Pixiv☆
http://pixiv.me/emotokei(WJ、アニメ系)
http://pixiv.me/aquamilei(他、色々)

☆Twitter
emotokei
フォローお気軽に

☆skype
aquamilei
登録はお気軽に

☆mail
aquamilei@bf7.so-net.ne.jp


アンソロ・ゲストの執筆依頼は
とてもありがたいのですが
お受けできない場合があります
申し訳ありませんがご了承下さい

カテゴリー

ブログ内検索

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

crime 1

お見舞いのお品です
赤眼鏡の人がさっさとよくなるといいと思う

会部







 ぱたん、と。
 ドアの閉まる音で、目を覚ました。
 さっきまで傍らにあったはずの存在は既になく、シーツに微かに残る温もりと全身の倦怠感だけが、彼がここにいたのは幻覚ではないと僕に教えた。
 ……次はいつ来るのかわからない。
 そもそも次があるのかわからない。
 不確定で、不安定で、不誠実。
 約束も告白も何もなしに、なし崩しにはじまった関係なんだから、それくらいがちょうどいいんだと思う。

 ちょうどいい、はずなのに。

「……っ」
 不意に、視界が霞んだ。瞼が……あつい。
「ふ……っく……」
 きつく閉じた目から、次々と涙が溢れて止まらない。ぎゅうっと押し潰されるように胸が痛くて、その痛みに耐え切れなくて嗚咽が漏れた。
 痛くて、痛くて、自分じゃどうしようもない。
 この痛みを和らげることなんて、きっと誰にもできない。
 触れる度に、口付ける度に、身体を繋げる度に、少しずつ何かが楔のように身体に打ち込まれては、ぐいぐいと傷痕を広げる。そうやって増えていく痛みが辛くて、もう……我慢できそうにない。
 痛くて、痛くて、身体がバラバラに砕けてしまいそうだ。
「……っうぅ」
 もういっそのこと、息の根を止めて欲しい。
 こんな痛みに耐えるのはもうごめんだ。

 ──身体を起こして、目元に溜まった涙を拳でぐっと拭った。すぐにじわりと浮き出る涙が頬を伝う。生温い液体の流れる感触が気持ち悪い。
 枕元に置いてある携帯電話を手に取り、アドレス帳から彼の名前を呼び出した。
 深呼吸を、ひとつ。
 ワンコール鳴らし終えるまでもなく、彼の声が受話器越しに流れてくる。
『どうした?』
「あ、えっと、」
 電話に出るまでの時間が予想外に早すぎて、僕は言うべき言葉を見失ってしまった。
『何かあったのか?』
どうしよう、どうしたら。
『おい?』
 訝しげな低い声が、何故かいきなり怖くなって、思わず電話を切ってしまった。
「あ」
 ……これじゃ、イタ電じゃないか。
 がっくり肩を落として、今頃怒り狂ってるか呆れているだろう男にあててメールする。

 ごめん、なんでもない。

 タイトルにそれだけいれて送って、電源を切った。
 何をしたかったんだ、僕は。
 自分で自分がわからなくて、僕は再び溜息をついた。
 明日、ちゃんと謝ろう。
 それから、ちゃんと伝えよう。

 僕は、キミのことが──。

<< Irregular | ホーム | 会長と喜緑さん >>


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP