AQUA

うううん、スランプっぽい

会部




「今日は十五夜だから」
　丸っこい団子を山ほど皿に盛って、何故だか得意げな顔をしているバカを見て、俺は思わず溜息をついた。
「……今日は雨だぞ」
　天気予報では、夕方から雨が降るという話だった。月見も何もないだろう。だいたい俺とお前の二人しかいないのに、そんなに作ってどうするんだ。そう思ったが、バカの意見は違うらしい。
「うん、雨なのは知ってる。でも思い出したら食べたくなったから」
　雨降らないといいけどね。
　そう口にしながらも、バカは雨が降ろうが槍が降ろうがどうでもよさそうな顔をして呑気に団子を食っている。そもそも今は真昼間だ、月見団子の意味がない。
「……お前本当に大雑把だよな」
「キミは意外と神経質だよね」
　さらりと可愛くない返し方をしてくるバカに少しだけむっとして。

　それ以上食えないように、口を塞いでやった。