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誕生日 5

竜原さんリクエスト
お誕生日おめでとうございます

会部、幼馴染





「た、誕生日には間に合ったから許してやるけど、」
 人の身体を背もたれ代わりに使いながら、わがままな幼馴染がぶつぶつ言う。
「遅いんだよっ」
「悪かった」
「心がこもってない!」
「そうか」
 そう言われてしまうのは無理もないだろう。いきなり手に入った僥倖に、口元が緩みっぱなしだ。とても謝罪する態度には見えない。
 ひとしきり文句を言ってふんぞりかえった奴を抱きとめながら、やっと落ち着いたかと内心一息ついたとき、そいつがぽつりと呟いた。
「こ、怖かったんだからな……」
 奴の腰に回した腕に、そっと熱い指先が重ねられる。
「全部勘違いだったらどうしようかと思った」
 掠れがちの震えた声に、そいつの真意と俺がつけた傷の大きさを知った。
 これは本当に、どれだけ詰られても仕方ない。
 俺が逃げようとしたことで、泣くまで追い詰めてしまったことが歯がゆくてならない。
「……悪い」
「いや、うん……まあいいんだけどさ」
 触れた部分から、温かい何かが流れ込んでくるような気がした。非科学的だが、それはたとえば心が通うとかそういうものだったかもしれない。
「好きだ」
「……うん。僕も、好きだ」
 吐息のように密やかで恥ずかしそうな声が俺の耳に届けられる。耳朶を打つ甘やかな響きに、じわりと身体の奥が疼いた。その疼きがどういうものかまではよくわからないが、悪くはない。
 陳腐な言い回しだが、幸せとはこういうことを言うんだろう。そう思った。
 そんな風に思える自分自身が笑えるが、それもまた一興。

 しばらくは、俺の機嫌も良さそうだ。

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