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あたらしいせいかつ 20

会部(会)




 それから先のことは、今となっては思い出したくもない。忘れてしまいたい過去だ。というかもう忘れた、忘れるっ。
 そう心に決めて学校でもひたすら無視を続けた。周りから心配されるくらい露骨に彼を避けて回る毎日だ。
 彼はどうやらそれをこころよく思ってはいないみたいで、ことあるたびごとに何かと話しかけてくる。
「キミ、待ちたまえ」
「……話しかけないでくれ」
 今、キミを忘れてる真っ最中なんだから。
「……おい」
 低い声は怒気を孕んでいて、背筋がぞわりとした。ぐっと腕を掴まれて、たたらを踏んでしまう。転びそうになる僕に構わず彼は僕を引きずりながら歩みを進めた。
「ちょ、何するんだよ! 離せよ!!」
「うるせえ」
 その吐き捨てるような語調に僕は目を丸くした。近くにいないとはいえ人の目があるところで、彼がこんな態度を取ることなんてはじめてだ。猫が取れている、いったいどうしたんだ?
 あまりに驚いたせいで抵抗を忘れてしまった。連れて行かれた先は人の気配のない旧校舎近くの水飲み場で、そこでやっと開放された僕はほっと息をついた。だけど落ち着く間もなく、壁に肩を縫い止められる。
「……こんなところに連れてきてどういうつもりだい?」
「シカトしてんじゃねえ。ふざけんなバカ」
 ドスの利いた声に一瞬怯みそうになったけれど、僕は何も悪いことなんてしちゃいないんだから、毅然として接するべきだと思い直して彼の視線を真っ向から受け止める。
「キミと話すことなんか、僕には何もない」
 きっぱり告げて睨み付けると、微かに彼がうろたえた。相手が怯んだことで気持ちに余裕ができ言葉を続ける。
「……手をどかしてくれ」
 本当は手を振り払ってやりたかったけれど、如何せん体格差がありすぎてお話にならない。こちらの焦りを悟られないように、殊更ゆっくり言葉を紡いだ途端。 
くしゃりと、彼の顔が歪んだ。
「!?」
「悪かった」
 後悔を絵に描いたような表情に息を飲む。予想だにしなかった反応に、一気に頭に血が上り、顔が熱くなった。

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