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あたらしいせいかつ 14

会部




 食物を受け入れ咀嚼するための器官を、無遠慮に入り込んできたものに侵食されて、一気に強張った体を壁に押さえつけられた。言葉ごと飲み込まれるように、柔らかくて分厚い舌に塞がれて息も継げない。微かな苦味が口の中いっぱいに広がっていく。
 必死で肩を押しても、彼はびくとも動かない。返ってくる反応は、僕を蹂躙する動きだけだ。抵抗すら意味を持たない状況で、はじめて与えられる感覚に溺れかけた。くそ、よくわかんないけど、たぶんこいつうまい……。
 がくんとエレベーターが傾いで止まり、するっとドアが開き、……やがてゆっくりと閉まった。
 動きを止め密室と化した狭いエレベーターの室内で、熱っぽい吐息と口内を舌でかき回される音だけがやたらと耳に響いて、精神衛生上悪いことこの上ない。
こんなの、ありえない。しかも気持ちいいとか最悪だ。なんなんだよこれ。
「……っはぁ……」
 散々掻き乱されてからやっと開放された唇の端を、つぅっと唾液が伝った。それをぺろりと舐め取って、満足げに微笑む彼と視線が絡む。
「何、考えてるんだ、キミは……」
 じわっと目頭が熱くなって、ぼんやりと視界が霞んでいくのを必死で堪えた。
 こ、こんな奴の前で泣くもんかっ。
 ああもうやっぱり本当に最悪だ。友達になんかなれるもんか。いくらなんでもこんなからかい方ひどすぎる。
「趣味が悪すぎる……っ」
「そうだな、自分でもそう思うぜ」
 くくっと喉の奥を鳴らすように、彼は獰猛な笑みを浮かべた。その視線の強さに射竦められて、ぞくりと体が慄いた。
 すっと近寄ってこられてびくっと肩が震えたけれど、彼の手は僕を素通りして、開ボタンを押した。閉じていたドアが開かれて、閉塞感が少しだけ和らぐ。
「降りないのか?」
 渋い声が耳元で囁いたのにはっとして、エレベーターから慌てて降りた。心臓がどくどく早鐘を打っている。
 何故か彼もエレベーターを降りて、僕の傍らに立つ。
「……何してるんだい、さっさと帰れよ」
「送ってやったんだ、茶くらい出せ」
「ふざけるな!」
 あんなことしておいてよくもまあそんなことを口にできるものだ。怒りをこめて睨み付けたけれど、彼は怯んだ様子も見せずふっと微笑んだ。

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