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あたらしいせいかつ 13

会部




 侮られたことが悔しくて情けなくて、目蓋がじんじん熱くなってくる。目をそらしてしまいたかったけど、下を向いたら、……泣いてしまいそうで。
 だから僕は彼をまっすぐ睨み付けた。
「人を馬鹿にするのもいい加減にしろよ」
 にやにやと笑う彼の視線が、僕の目線と絡み合う。
「ハッ、ご大層なプライドだ。そんなもん抱えた奴が部長じゃ、部員は報われそうにないな」
「キミには関係ない! みんなが言うならともかく、部外者が口出しするなっ」
 そう吐き捨てて、僕は今度こそ踵を返し歩き出した。階段を駆け上がろうかと思ったけれど、まるでそんなの彼から逃げるみたいで、それはそれで頭に来る。だからエントランスの先にあるエレベーターへ殊更にゆっくり歩みを進めた。
 ボタンを押すとすぐに開いたので、そのまま乗り込む。すぐさま閉ボタンを押すと、滑らかにずぅっとドアが閉じていった。ほっと息をついた瞬間、じわりと堪えていた涙が頬を伝う。ちくしょう、あいつ最悪だ。
 ガタンッ
「え?」
 いきなり耳障りな音と衝撃が響く。振り返ると、ドアが閉まる前に手で抑えられていた。塞き止められたドアが、緩やかにまた開いていく。
 ぽかんとした僕の目の前に、なぜか驚いたような表情の彼が立っていた。驚いているのはこっちのほうなんだけど……何をしているんだ、キミは。
 するりと乗り込んできた彼の背の後ろで、今度こそ何の障害もなくエレベーターのドアがぴったりと閉じられた。
 ぽたり、ぽたり、と。
僕が彼に貸した折り畳み傘から水滴がしたたる音が、やけに狭い空間の中で響いて聞こえる。
「悪い」
「え、あ、」
 また何か嫌味でも言われるのかと身構えていたところへ不意打ちのように直球で謝罪されて、思わずうろたえる。
「なんかお前見てるとからかいたくなって困る」
「……困ってるのはこっちのほうだよ」
「まあ、そうだな」
 くくっと喉を鳴らして、彼は楽しそうに笑った。さっきまでの皮肉げで人を小馬鹿にした笑みにはほど遠い。
 不意に手が伸ばされて、彼の長い指先が頬に触れた。そのままぐいっと目元を拭われる。
「割とお前の、そういう無駄にプライド高いところも俺は気に入ってるぜ」
 無駄で悪かったな、と反射的に返そうとした言葉は、僕の口からでることはなかった。

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