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あたらしいせいかつ 12

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 やがて僕の住んでいるマンションに辿り着き、エントランスに入る。彼も傘を畳んで、いったん庇に入った。隣に佇む彼に、我ながら無理やり作ったぎこちなさの残る笑顔を向ける。
「返すのはいつでもいいから。じゃあまた来週」
 そう言い置いて踵を返そうとした僕の肩を、彼ががっちり掴んで引き寄せた。
「うわっ」
 想定外の事態に、足が縺れて後ろに倒れそうになったところを、軽々片手で支えられる。体格差があるせいで、まるで子供みたいに扱われていることに憤慨した。彼の手から逃れて向き直り、睨み付ける。
「危ないじゃないかっ、何するんだよ」
「さっきの話だが、見返りを用意するのはお前なら簡単だ」
「さっき……?」
 話が見えなくて訝しげな顔をした僕に、彼は短く言った。
「予算」
「ああ、その話か……」
 来期の予算がどうのこうのって言ってたよな……とっくに終わった話題だし、他愛ない言葉のやり取りだったから、一瞬何の話をしているのかわからなかった。
「僕なら簡単って、どういうこと?」
 本当に簡単なことだったら、それをするにやぶさかではない。コンピ研には迷惑かけちゃってるし、それが全部僕のせいなわけじゃないけどさ。あの場所は、僕にとって高校生活を送る上で大切なものだから、守ったり助けたりできるんなら善処する。あたりまえだろ。
「ようは、俺の胸先三寸ってことだ。お前が俺に気に入られれば手心が加わるってわけだ」
 うわあ、最低だ。こいつを誰にでも平等だって言った奴に聞かせてやりたい。言ってることはわからないでもないけど、公私混同甚だしい。その上随分僕に対して失礼だ。
「却下させてもらおう。キミの機嫌なんかとりたくない」
 対等な立場での友人としてならともかく、そんな不自然な関係は誰に対しても作りたくなんてない。そりゃあ人付き合いしてれば多少他人におべんちゃら使うくらいはすることもあるけど、それを常に同級生相手に意識しろとでも言うつもりか? ……すごくイライラする。
「ウチは正当に評価してもらえればそれで充分だ。分不相応な予算なんていらないし、無理しようとは思わない。なんでもかんでも追従する人間なんて、キミならいくらだっているだろ。僕はそんなのごめんだけどね」
 言葉にしているうちに、結局対等な人間関係すら築けていないのに、友達になりたいだなんて考えてた自分に憤ってきた。少なくとも彼は、僕が予算のために簡単に擦り寄ってみせると考えていたわけだ。ちくしょう。

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