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あたらしいせいかつ 11

会部




 彼と二人、ひとつの傘を差しながら、並んで帰るのはこれで二度目だ。一度目は彼の傘で。今回は僕の傘で。
 折り畳みだから小さくて、互いが濡れないようにするとなると、どうしても寄り添いあうみたいな格好になる。それに閉口しつつ、特に言葉を交わすでもなく、静かに振り続く雨の中、僕たちは長い長い坂道を下っていった。
 変に意識してしまうほうがおかしいっていうのはわかってるんだけど、なんだか緊張してしまう。彼は別にあの時のことなんて大したことだと思ってなさそうだし、実際意味なんてなかっただろうけど、僕にとっては到底忘れてしまえるような記憶じゃないんだ。
……はじめてのキス、だったんだよなあ。
その妙にリリカルな響きにちょっとげんなりした。
別に、なんていうのかな……。ファーストキスは絶対に好きな人と! とか、そんな女子中学生みたいなこと考えてたわけじゃないけど、それでも男とすることになるだなんて想定外だったと言わざるを得ない。
 本当に、どういうつもりであんなことしたんだろう?
 ちらりと横目で彼を見やると、なぜか彼もこっちを見ていて、ばっちり目が合ってしまった。
「な、なに?」
「いや、面白いなと思って」
「……何が?」
 訝しく思って問い掛けると、彼はくくっと喉の奥を震わせるやり方で笑った。
「おとなしいと思ったら、青くなったり赤くなったりころころ顔変えて見物だったぜ」
「う、うるさいなっ!」
 趣味が悪い、悪すぎる。人の顔なんてじっと見るようなもんじゃないだろ、失礼な!!
「せっかく傘に入れてやったのに! なんて失礼なやつなんだ!! ああもうみんなだまされすぎなんだよっ」
 地団駄踏んで憤慨している僕をちらりと見やって、彼はにやにやしながら口を開いた。
「みんな騙されてくれてんのか、そりゃあよかった」
 言葉の通り嬉しそうに楽しそうに、更に笑みを深めていく。なんて奴だ。
「気持ち悪いくらい騙されてるよ、二重人格め」
「オレは二重人格じゃねえよ。ただ、色々あるんでな」
 その色々っていうのがなんなのか、聞いたってどうせ教えてくれないくせに、ことあるたびにそうやって思わせぶりに口にするのはどうかと思う。そうやってきっぱり線を引くんだったら、最初から口にしないでほしい。
 結局キミにとっての僕は、都合のいい『学校の友人』でしかないんだ。それをいつも通り思い知らされて、彼から視線を外し溜息をついた。
 まあ、いいんだけどさ。

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