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あたらしいせいかつ 6

会部




 すっかり遅くなってしまったようだ。人気のない廊下は、喧騒とは無縁で、まるで空間を切り取られてここに取り残されてしまったんじゃないかと錯覚しそうなくらい日中とは違って見える。下駄箱と職員室以外、灯りは既に消えているみたいだ。
 ……いや、職員室の隣にも、灯りがついていた。
 生徒会室、まだ誰か残ってるのか……大変だなあ。ちょうどいいから、出してきちゃおうか。
 思い立ったが吉日とばかりに、僕は生徒会室へ足を向けたのだった。

 こんこん。
「すみません、コンピ研ですけど……」
 ノックをしてドアを開けると、軽いデジャヴを覚えた。
 そこにいたのは生徒会長一人で、手にはタバコ。いつかとまったく同じシチュエーションに、一気に記憶が呼び起こされる。
「あ……」
 今すぐ回れ右をして走って逃げたいくらいなのに、動揺しすぎた僕は足が竦んで動けない。顔が、体が、どんどん熱くなっていく。
「なんだお前か。珍しいな、どうした?」
 彼は以前のように驚いた様子すら見せず、余裕の表情で紫煙を燻らしている。もしかしたらと思っていたけど、やっぱりもうあんなこと忘れてしまったのかもしれない。覚えていたい記憶じゃないだろうし。僕だって、覚えていたいわけじゃないんだけど!
「おい?」
「あっ……あの、補助予算の申請の紙、書いてきたんだけど……」
 しどろもどろになってしまったのを変に思われていやしないだろうか。もしもそう思われていたとしても、それを払拭するにはどうしたらいいかなんて僕にはまったく思い浮かばないんだけれど。
「ああ、PTAのやつな。見せてみろ」
 差し伸べられた手に、書類を差し出す。彼はそれをタバコを銜えたまま受け取り、ざっと目を通したようだった。
「問題はないな」
 その言葉にほっと息をつく。大丈夫だろうと思ってはいたけど、やっぱりちょっと心配だったからさ。僕たまにテストで、記入ミスとかやらかすし。
「じゃあ、よろしく」
「ああ、今日付けで決済通しといてやるよ」
「え……あ、ありがと」
 我ながら間抜けた返答に、彼がくすくす笑う。生徒会長としての尊大な笑みでも、素の彼がよく見せる皮肉げな笑い方でもないそれに、僕はなぜか居たたまれなくなった。

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