A5 P32 300円 20100404発行
古泉×キョン & 会長×部長 R18
Red biscuitsのななみかずこさまとの合同です
キョンと部長が先天性転換、古泉と会長はそのまま
ななみさんのキョンが乙女で可愛いです…!
わたしは短いおはなしを二本かきました
その日、あたしは学校側へ提出する書類を作成していた。
SOS団が存続していくためには、文芸部の申請書類を提出することは避けられないからだ。
こういうのは古泉の仕事だろうと思うのだが、今日はあたし以外の団長以下全員用事があるらしい。提出期限を過ぎていると告げられ、今日中に提出すれば内緒にしててやると担任の岡部が便宜を図ってくれたこともあり、これ以上延ばしてしまうわけにもいかない。仕方なくあたしがやることになったのだ。一応古泉は終わり次第戻ると言っていたが、その前に書類作成は終わりそうな雰囲気だった。
あと少し……と。
「ん、これでよし」
プリントアウトした紙の束をまとめて、職員室へ持っていく。残っていた岡部教諭に締切破りを謝罪しつつ書類を渡し、……これでやっとお役御免だ。とりあえず来年度も無事に文芸部……つまりSOS団の活動が続くとこれで約束されたはずである。
ずっと同じ姿勢をとっていたから、強張ってしまった肩や首周りを軽くストレッチする。徐々に身体の緊張がほぐれていくのが気持ちいい。
さて、帰るか。
文芸部室に鞄を置きっぱなしだから、とりあえず部室棟へ足を向ける。もう下校時刻は程近く、既に人の気配もない廊下をひとりそぞろ歩いた。
夜の学校というのはどうしてこう不気味なんだろうね。
この学校にそのテの話があると聞いた覚えはないが(そんなもんあったらうちの団長様が確実に騒ぎ立てるはずだ)どこかから女のすすり泣く声が聞こえてきてもおかしくない風情だ。
折りしも刻は夕暮れ、逢魔時。
怪談だったら、間違いなく出るな、なんて思ったそのときのことだった。
「──……ぁ、ぅ……」
「っ!?」
どこからともなく聞こえてきた、呻き声のような、高く細い女の声に、全身が凍りついた。
おいおい、嘘だろう?
たらりと冷や汗が背中を伝うのは、何が起きても不思議じゃないと、この身をもって知っているからだ。それこそ、我らが団長様が「うちの学校、幽霊くらい居てもいいのに」と考えるだけで、何やらあやしい人影が浮き出てくるはずで……迂闊にこんなことを考えた自分が心底呪わしい。
いや、きっとただの聞き間違いだ。
そう思い込もうとして失敗しつつ、大丈夫だ大丈夫だと念仏のように唱えながら文芸部室へと向かう。
しかし、非常に残念なことに、前へ進めば進むほど、その声の響きは顕著になっていくばかりだ。
こうなってくるともう意地のようなもので、あたしは歩みを進めた。明日は数学で当たる。予習しておかないと絶対答えられるわけがない。数学が得意と言えば国木田だが、あいつは教えてあげるから自分でやるようにと言って、答えそのものを写させてはくれない。朝っぱらの余裕がない時間に、悠長に勉強を教わるのは御免だった。
よし、いくぞ!
そう思い威勢よく踏み出したところで、声が聞こえてくる場所がどこか気付いた。
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