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行く年、来る年

会部 行く年、来る年




 つけっぱなしのテレビから、除夜の鐘が聞こえてくる。

 ああ、もうそんな時間かあ。

 回らない頭でぼんやり考えていると、噛み付くようなキスをされた。他の事を考えたのがばれたのかと思うようなタイミングに、僅かに心臓が跳ねる。おずおずと口付けに応えれば、満足したような笑みを浮かべて彼が離れた。猛禽類を思わせる強い視線に、その獰猛な笑みはよく似合う。
 煩悩を払うための鐘を聞きながら、煩悩まみれの行為に流されるというのはなんだかシュールだ。去年もこうだったし、確か一昨年も……彼と出会ってからというものそれを繰り返しているんだけれども。
 そんなくだらないことが思い浮かんで、ついついくすっと笑ってしまった。
「集中しろ」
 呆れたような声で怒られた。やっぱりばれてたみたいだね。
「ごめんごめん」
 するりと首筋に手を回して彼を引き寄せる。薄い唇に自分から口付けると、ぴくりと彼の肩が揺れた。
 あんまり僕のほうからこういうことをしないから、どうやら驚いたらしい。……ひとつ言わせてもらうなら、僕は別にそういうことをしたくないわけじゃなくて、彼から貰う分で充分足りてしまうからしないだけだったりするんだけどね。まあ、今煩悩消されてる最中だし、少しくらい恥ずかしいことして煩悩増えてもどうにか消し去ってくれるんじゃないかな、と。
 よくわからない言い訳を自分にしていると、ふわりと頬をなでられた。
「なあ」
「……うん?」
「来年は──」
 密やかな声が耳朶をくすぐった、その時。
『あけましておめでとうございます!』
 不必要なほど明るい声が、テレビから流れてきて彼の声を遮った。チッ、と舌打ちして、彼が目をそらす。
「なんだい?」
「なんでもない」
 そう嘯いて、彼は口を噤んだ。
 どうやらその後に続く言葉がなんだったのか、僕は知る機会を失ってしまったらしい。まあいいけど。
「あのさ」
「なんだ?」
 ぎゅう、としがみつくと、珍しく彼が慌てたような気配がした。

「今年も、よろしく」

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