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通販用おまけ 0901

会部
通販用おまけ再録


「おい、そろそろ起きろ」
「ん……」
 布団を剥ぐと、微かに身じろぎしたが起きる様子はない。寒いのか、ふるりと震えた体がきゅうっと縮こまる。
「おい、聞こえないのか?」
 軽く肩を揺すると、うるさそうに手を払いのけられた。いい度胸だ。
 遠慮はいらないと判断して、本格的に起こしに入る。
「起きろ、バカ」
「……ん、んぅ」
 乱暴に揺さぶると、うっすら目が開く。やっと起きたか、と手を離したら、奴の手がするりと伸びてきた。
 へらっと緊張感なく笑うもんだから、虚をつかれてなすがままにされる。
「お、おい」
 鬱陶しいはずだと自分に言い聞かせたが、撥ね付けることが出来ない。厄介だ。
 目を閉じれば、妙に爽やかな香りが鼻についた。染み付いて離れなくなりそうな香りに、眩暈がしそうだ。
「好きだよ」
「……っ」
 ついぞ聞いたことのない、甘えねだるような声色に、背筋がぞくりと波打った。腰より少し下の辺りにざわりと響く。衝動のままに口付ければ、たどたどしいながらも応じてきた。いつも嫌だ嫌だとうるさく喚くくせにどういう風の吹き回しだ? 突然手の中に転がり込んできた想い人に、戸惑いを感じるより先に嬉しさがこみ上げてくる。
 きつく抱きすくめると、ひくりと身体が震えた。
「あ、れ……?」
 甘ったるさの残る声に、不思議そうな響きが伴う。
 視線が絡んだ途端、みるみるうちに奴の顔が真っ赤になっていき、いきなりどんっと押し戻される。何をするんだと怒鳴りつけてやろうとした矢先に、奴の必死な声に遮られてしまった。
「ちがっ、違うんだ! 夢だと思って、──ごめん帰るっ!」
 耳まで真っ赤にして、わたわたと上着を引っ掴んで出て行こうとする。呆気に取られて見送りかけ、我にかえった。
「待て、バカ!」
 玄関で慌しく靴を履こうとしていたそいつの腕を引っ掴む。
「は、離し……」
 俯いて表情が見えないことに苛立ち、強引に顔を上げさせると、今にも泣きそうだ。苛立ちのまま口付ければ、抵抗してきやがる。
 ──イライラする。夢の相手に操でも立ててんのか?
「お前、好きな奴なんていたんだな。誰なんだ? 聞かせろよ」
 わざと嘲るように言葉を紡げば、ひどく傷ついた顔を見せた。
 今にも涙が零れ落ちそうだ。その表情に嗜虐欲が刺激される。掴んだ腕をきつく戒めると痛そうに顔を顰めた。
「そんなに僕を追い詰めたいのかっ」
「ああ、そうだな」
 どうせ手に入らないなら、追い詰めて踏みにじって何が悪い。
 自嘲気味な笑みが浮かんだその時、奴が悔しそうに唸った。
「キミなんか、好きになるんじゃなかった」
「……は?」
「ばれてるのは知ってたけど、伝えるつもりなんてなかったんだ。ただの遊びだっていうのはちゃんとわかってるから安心してくれたまえ」
 奴は顔を上げるとじっと俺を見据えて、ぎこちなく微笑んだ。
「簡単すぎてつまらなかったろ」
「お前、本当にバカだな」
「え、あ、うわあっ」

 誰が逃がすか。こんなバカ、俺くらいしか面倒見切れねえ。

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