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北高生徒会長の諦念

A5 P32 400円  20090906発行
表紙:ななみかずこさま

 生徒会長後天性転換、触手陵辱
 古泉×会長? 直接の絡みはありません
 古泉が壊れ気味、後味悪め

書店:とらのあな

追記にサンプル
145.jpg


 目が覚めて、最初に目に入ったのは、さらりと肩へ流れた艶やかな黒い髪だった。
 なんだ?
 そう思って手に取れば、細く白い指が視界に入る。するすると指を通り抜ける柔らかな質感は確かに感じられて、一瞬思考が停止した。
「……どういう、ことだ」
 ぽつりと呟いた声は、確かに自分の口から出たはずなのにまったく別人のものであった。起き上がって喉元をおさえれば、ほっそりとした首筋のラインに慄く。細いけれど柔らかな肉付きは、紛うことなく女のそれだ。首から下にかけての、整った曲線を描いた胸元や、その下のスカートから伸びる黒いストッキングに包まれた細身の足を見て凍りついた。おそるおそる手を伸ばして足に触れれば、繊維の感触がしっかり指先に伝わった。
 辺りを見回してみる。見渡す限り、砂しか見えない。
 当然のことながら、こんな場所を俺は知らない。
 つぅっと、背中を冷たい汗が滴る。
「おや、お目覚めですか」
 声をかけられて反射的に振り返れば、はたしてそこには柔らかな微笑を称えた古泉一樹が佇んでいる。半ばわかっていたような気はするが、それでも知った顔を見つけてほっとしてしまった。そのことに気付いて舌打ちすれば、全てを見透かしてでもいるような目が俺を見据えた。
「古泉、これはいったいどういうことだ?」
 自分の口から出ているというのに、まったく実感が湧かない。しかも、俺の嫌いなタイプの声だった。最悪だ。
「僕のことを認識できているんですね。なるほど。予定外ですが、まあいいでしょう」
「予定外……?」
 不穏な響きの言葉に、否が応にも不安感が煽られる。それでもこの状況で、頼れるものがあるとすればこの男だけだということを肌で感じていた。
「……説明しろ」
 それでも下手に出る気にはなれず、立ち上がって砂を払い居丈高に告げれば、古泉は困ったように微笑んだ。その笑顔に嫌味はなかったが、もしかしたら虚勢を張っていることを見抜かれているのかもしれないと思えるような、そんな笑みだった。
「あなたに信じていただくためには、真実を体験していただくことが一番手っ取り早いだろう……僕らはそのように考えたのですよ。本来ならば閉鎖空間へお連れしても構わないと言えば構わないのですが、最近涼宮さんの精神状況はすこぶる安定しており、なかなかお呼びがかかりません。また、一般人であるあなたに、万が一にでも怪我をされると後々面倒なことにもなりかねませんので、できれば避けたいところではありました」
「それで、これか?」
 女にさせられるだなんて、最悪だ。
 そう吐き捨てると、古泉は笑みを濃くした。
「もうひとつ理由がありますが……僕は別にあなたを女性にしようと画策したわけではありません。このような姿に変化することは予想外でしたし、この状況下においてあなたに理性があり、意思の疎通が可能だとも思っていませんでした。まさか、」
 くすくすと、耐え切れなかったように古泉が微かな笑みを漏らす。
「あなたが女性を苦手としているとは……意外でしたね」
「なんだと?」
「一応、生徒会長に擁立するに際して、あなたのことも調べさせていただき、女性関係についてはむしろ奔放だったように見受けますが……ああ、それとも苦手だったからこそ、奔放に見えたのでしょうか?」
 口調は柔らかく丁寧だが、明らかに下世話な響きをその台詞の中に感じ取って、頭に血が上る。
「ふざけんなっ」
「おや」
 パシッ。
 古泉を殴ろうとした拳を、あっさりと止められて愕然とする。勢いもなければ重さもない、間の抜けた音は古泉の手の平にたいした衝撃を与えなかっただろうと確信していた。
「まだ説明の途中ですが、不要でしたか?」
「……続けろ。余計な話はするんじゃねえ」
「かしこまりました」
 サービス過剰な笑顔を振り撒いて、古泉は言葉を続ける。
「あなたに先ほど見ていただいた紋様は、話せば長くなりますが、」
「手短に話せよ」
 話の腰を折ると、古泉はあからさまに残念そうな表情を見せた。だがそんなものに付き合ってやる義理もない。
「さっさとしろ」
 苛立ちを露わに吐き捨てれば、古泉は仕方ないと言いたげな顔になった。
「……承りました。涼宮さんがこの世界に生み出した中でももっとも危険なものとお考えください。ただし現在は我々と同盟のような関係を結んでいる存在が管理しておりますので、基本的に他者に害を与えることはありません。今回は実験もかねてご覧いただいたのですが、まさかこんな結果になるとは……」
「実験だと?」
「我がSOS団の拠点たる文芸部室は、様々な要因が重なり合った結果、非常に危うい均衡を保つ形で異空間化しています。平素、それが何か影響を及ぼすことはありませんが、件の紋様をこの異空間と化した文芸部室で、団員以外の人間が見た場合どうなるのか、サンプルが欲しかったのです」
 あまりにもさりげなく告げられたので、一瞬聞き流しそうになった。実験……サンプル……とてもじゃないが飄々と悪びれもせずに話すような内容ではないと思うが、古泉の口調や表情に申し訳なさそうな色はどこにも見えない。ごく当たり前のこととして告げられる言葉に、我知らずごくりと喉が鳴った。
 こいつは……いったい機関ってのは、どうなってやがるんだ?

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