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Glasses

A5 P24 300円 20091012発行

160.jpg

古泉×キョン R18
ザ・スニ10月号出張版ハルヒちゃんネタです
中身というか雰囲気が長門ちっくな眼鏡古泉
ハルヒちゃんネタですがシリアスです、カオス


追記にサンプル


「Glasses」サンプル


 はじめに覚えた違和感を残したまま、それでも平穏な日々が続いている。
 ハルヒの立ち位置に移動して良く喋るようになった長門、古泉の様な含みのある笑顔により大人っぽくなった朝比奈さん、朝比奈さんのおしとやかさを持ち合わせたハルヒ、クールで無口の黙ってりゃかっこいい古泉、──正直に言うと、なんだかすごく納まりが良い感じはする。するんだが……。
 その実俺は、いつまで経ってもこの異変に慣れることはなかった。物足りないというか何というか、とにかくこれは俺の属しているSOS団ではないと強く感じている。
 最たるものは、目の前で静かに読書を嗜んでいる男だ。
 ぱらり……。
 ページを繰る音だけが、静かな室内に響いている。俺はといえばさっきまでひとり手慰みにボードゲームにいそしんでいたものの、元々二人用のそれをひとりでやることに飽きてきたところだ。女子連中は、長門に引っ張られてハルヒのお茶汲み用コスプレ衣装選びである。元を知っている俺からすると、まったくもってシュール極まりない状況だ。
「おい、古泉」
 声をかけても返事が返って来ることはない。別に聞こえていないわけではないだろう。微かに顔を上げた古泉が、じっとこちらを見据えている視線をひしひしと感じる。しかし俺はこちらからそれ以上の水を向けることなく、じっと奴からの返答を待った。
 どれだけの時間が経っただろう。実際には十秒ほどだったかもしれないし、数分だったかも知れない。永劫のように感じられる時を経て、柔らかなテノールが響いた。
「何でしょう」
 イントネーションにやや平坦さはあるが、それは紛れもなく古泉の声だ。それを確かめる度になんとなくほっとしてしまう。それが何故かなんて構うもんか。
「今日は何を読んでるんだ?」
「食品偽装の歴史、です」
 それはまた随分けったいな代物だな。どこから探してくるんだ、そういうの。
「面白いのか?」
 古泉は、透明感のある澄んだ眼差しを俺に向けたまま、微かに頷く。それは注視していないとわからない程度の動きだったが、奴をじっと見つめていた俺には判別が容易だ。
「そうか、そりゃよかったな」
 そう声をかけると、古泉は茫洋としてしばらく俺を見ていたが、その内手に持っていた本へと目線を移した。そしてそのまま機械のように正確な一定の速度でページをめくっている。
 なんとはなしにそれを眺めながら、やはり俺は、この状況に多大なる違和感を覚えていた。

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